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地域の「活性化」とは?須坂市の空きペンション問題から考えるin峰の原高原

THE NORTH DIARY~須坂暮らし日記~

先日、峰の原高原の空きペンション問題のディスカッションに同席させて頂きました。今日はそこで感じたお話を少し。

峰の原高原は須坂市の南東部位置する標高1500mの高原だ。

朝になれば雲海が見えることもしばしばあり、夜になれば一面の星空が頭上に広がる。

この峰の原高原には90年代のスキー最盛期でペンション+一般住居で最大99軒あったものの今では旅館組合の登録数は41軒で生活している世帯は約70世帯だ。

現在、数字でもわかる通り、20軒以上の空きペンション・別荘があると見込まれている。

放置され荒れていく空きペンションや、老朽化が進み売れない別荘。

景観が失われ、本来の美しい森に人工物が埋まっていく。

そして、この問題を知った人たちが峰の原の住人に必ず言う言葉がある。

「峰の原高原を今後どのように活性化したいですか?」

では活性化とは何なのか?

空きペンション問題から考察したい。

峰の原高原の歴史と経営環境の変化

1970年代に第一ペンション村の分譲が始まり、元々企業の保養所などとして開発されたこのエリアで、スキーや観光を目玉に開発が行われた。

その後、第二ペンション村が作られ分譲地として別荘地の開発も行われていった。

当時のペンション購入者の多くは20~40代が占め、現在オーナー達は50年の月日を経て70代、80代に。

沢山のファンや常連が居ながらも、広すぎるペンションの管理や食事を提供するスタイルに体力もついてこない、それが故にペンションを辞めてしまうオーナーも少なくない。

ここ数年で空きペンションが増えてきている理由は他にもある。

当時と違い温暖化もありウィンタースポーツの期間は短くなり、ブームは衰退、大学生の夏の陸上合宿などで使われてはいるものの、顧客を得るためには経営努力も必要になるし、毎年老朽化していく設備を修繕していく必要もある。

利用者がそもそも減っているのだから、そこにかけられるお金がなかなか生み出せない。

簡単に人集めるということだけでは負のスパイラルはなかなか抜け出すことは出来ないのだ。

ペンション経営者もそれを黙って見ていたわけではない。様々な工夫(例えばスノーシューとか)も凝らしながら経営努力をしてきた。

でも、ここで暮すにはそれ以外にも気にすることは多数・・・

朽ちたペンションはどうなる?ペンションや別荘を更地にするまでの障壁

このエリアは人が住まなければ冬にはマイナス30℃近くまで下がる環境から、水道管が破裂し、水浸しで朽ちていく家もあるのが珍しくないそうだ。それが原因で断熱材や家がカビたり、電気設備が朽ちていくことになる。

生活インフラが壊滅してしまうのだ。

ペンション廃業後、すぐに売ればいいのでは?壊せばいいのでは?と考えたくもなるのだが

ペンション1棟の解体費用は約600~800万と言われている(須坂市内は300万~400万が相場)

建物が大きいが故に費用が嵩んでしまうのだ。

そして売買金額で言えば500万以下、が相場だ(老朽化度合いにもよるが)

一度空き家となってしまったペンションは修繕費かかるのは前述したとおりで、修繕には購入金額の”倍”必要になると言われている。

つまり、500万円でペンションを購入すれば1000万円の修繕費がかかる、総額1500万円を要するということだ。

そのような事実を抱えて今後、どれだけの人がペンションをやるのだろう・・・

そう。つまりペンションは売れる物件ではないのだ。少なくとも”すぐ”には。

言葉を選ばずに言うと一度空き家になってしまえば”負動産屋”になってしまうことを視野に入れなければならない。

これが峰の原高原に住むという現実だ。

このペンション村の活性化とは?

今回、同席したペンションオーナーが「この後、活性化していくにはどうしたらいいと思いますか?」という話題に「そもそも活性化ってなんだろ・・・」と問題提議していた。

そのオーナーが考える活性化はこの村が「自立」出来る場所になるということ。

例えば・・・峰の原高原の人の遊びは”自然”だ。だからこそ最低限の医療機関が揃っていれば、住むだけなら誰でも出来る。ネットで何でも買える世の中、スーパー、コンビニ、飲食店が出来ることが活性化ではないのだ。

もちろんこれがこの村の総意かはわからないが、少なくとも私達の考える活性化とは違うのではないか。

自然に戻していくという”選択”も

2024年でペンション1号の50周年となるこの峰の原高原。

開発当初は「買ったペンションは最終的に自然に戻せればどうやってくれてもいいですよ」と言われていたらしい。

この村はSDGsが理由ではなく最初から自然に戻す考えなのだ。

自然と共に生きてきた村なんだ。

だから空いてしまったペンションは無理に埋めず、”自然に戻す”という選択の時が来ているのかもしれない。

具体的には言えば、長野市には老朽危険空き家解体事業補助金がある(最大120万円)があるし、志賀高原などのある山ノ内町もそのような解体補助金がある(50万円)

残すばかりの補助でなく、減らす方も考えていく必要があるのではないか。

町には新築の家がどんどん建ち、片づけられない大人たちがどんどんと空き家を増やしていく。

そして手に入れたものを大切にせず、最後にはほったらかしてしまう。もちろん、お金があれば壊したい人は沢山いると思う。だからこそ、もっとそこに視点を注がなければいけないのではないか?

赤ん坊だって使ったおもちゃはしっかり片づけて戻すことが出来るのだ。

これから生まれる命や次世代のために、もうこれ以上の負の遺産を残すのをやめよう。

そう考えていく事が、持続的で成長可能な社会にしていくことなのかもしれない。

人間が作った物が自然に戻っていくのがいい。

自然に戻るならいい。

自然に戻そう。

そう考えるのも地域活性化なのではないだろうか。

自分の町の活性化とは何か?考えてみよう!

是非、これを読んだ人たちにも自分の町の活性化とは何か?を考えてもらえると嬉しいです。

人ぞれぞれの感性があるし、誰か1人の意見が正しいとかいう話ではないんです。

だからこそ、このような議題を話合う必要があるし、意見を言い合う必要があると思う。

誰かの意見を否定するのは簡単だ。

それよりも様々な人の意見の良いところをファシリテートして

沢山の脳で可能性を探れたらいいですね。

今回のようなディスカッション機会を得れたことに感謝です。

では

さよなら、さよなら、さよなら。

のーす

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