2023年1月18日、「ウッドデザイン賞」優秀作品等に学ぶ視察ツアーに参加させて頂きました。日程的に19日の「ウッドデザイン」地域セミナー2023 in NAGANOと合わせて一泊二日の行程でした。
残念ながら19日は別の予定があったので不参加になってしまいましたが、18日だけど、とても濃い内容だったのでご紹介させて頂きます。
趣旨(JWDA案内より)
SDGs時代に合わせて今年度からリニューアルした「ウッドデザイン賞」の「環境大臣賞」受賞した「SANU 2nd Home」をはじめ、持続可能な森林管理と一体となった「観光・交流・宿泊施設における国産材利用」の先進事例に学ぶ「視察ツアー」とともに、これからの自然公園等の観光地域の観光・交流・宿泊施設の魅力を高めるウッド・チェンジのあり方を議論する「地域セミナー」を開催します。
視察ツアー
この日周った視察先を順番にご紹介します。
SANU 2nd Home 白樺湖・2nd
一番初めに見学させて頂いた「SANU 2nd Home」ですが、最初から設計思考にとても感動しました。
主な特徴は下記に記載しますが、一番感動したのは「50年後にばらせるキャビン」ということでした。
自分たちがいなくなっても後を引き継いだ人がこの施設を整備・管理出来るようにキャビンをばらせる設計としたことです。
ばらすと言ってもとても、その設計にするのはとても大変だったとのことでした。
日々、利用者の方からのレビューを見ながらより良いものにするために改善を続けているそうです。
屋根も取り外し可能です。ボルトで止まっていますが、このボルトは将来的には見えないようにするために設計変更中とのこと。
ある意味一番のポイントはお手洗いのスイッチです。
石を引くと電気や換気扇がON、OFFになります。
この壁も取り外し可能です。
木目はあえて残しているとのことでした。理由は「木に木目があるのは自然なことで、その自然を生かしたかったから」とのこと。納得です!
この曲線美は職人さんの手作業で仕上げたものとのことでしたが、徐々に3D加工技術が進化してきて徐々に機械加工でも作れるようになってきたとのことでした。
東急リゾートタウン蓼科
長野県茅野市の蓼科高原に位置する総合リゾート地。遊ぶ、食べる、泊まる、癒す、働く、暮らすをテーマに、自然豊かな名所をはじめ四季折々の様々な楽しみ方を提供しています。
タウン内の案内をしてくれたのは東急リゾーツ&ステイ(株)地域創造統括部の徳田さんです。
ちなみに、2022年7月に小田隊員が「森林サービス産業 オープン・ラボ in NAGANO」に参加した際に訪れているのでその記事も合わせてどうぞ。
「もりぐらし」とは?
蓼科の森を健全化するため、森林資源を核とした「まもる」「つかう」「つなぐ」の持続可能な地域循環のサイクルを立案、2017年その取り組みを「もりぐらし」と名付けられました。
「森林経営計画」を策定した森林整備箇所
戦後植林されたカラマツの人工林でタウンの開発後40年間、間伐等の保全処置がされないままだったそうです。
そこで、森林経営計画を策定し、林業経営体としての認定を受け、森林状態の現状を調査・把握し、中長期の保全施業計画を立てる事によりタウン内樹木の総成長量850m3の範囲で間伐を実施出来ることになったとのこと。
その間伐を行った森林整備箇所を見学させて頂きました。
残念ながら運転しながらの見学だったので写真はありません…
ゴルフ場のバイオマスボイラー
タウン内の施設(ゴルフ場)の化石燃料ボイラーをバイオマスボイラーに入れ替えたことにより、年間110tのCO2排出があったそうですが、その全てのCO2排出を抑制出来たとのこと。凄い!!
地方公共団体との強い連携が見られること、地域への復旧・拡大を効果的に進める計画がなされていることが評価され、民間企業としては非常に稀な補助率2/3を活用出来るようになったそうです。
燃料は間伐材を利用しています。従来のボイラーの灯油代およそ400万/年の大部分を節約することができ、9年で投資金額を回収可能とのこと。
ちなみに、このゴルフ場で使用しているバイオマスボイラーから排出される灰は1年間で軽トラックの荷台一台分だそうです。低排出すぎる!これも凄い!!
ボイラー施設の建屋の木の看板がオシャレです。
ワークラボもりぐらし
別荘オーナーのラウンジをワーキング施設としてリニューアルしてオープン。ホテルに泊まっている人はもちろん、日帰りの人も使えるワークスペースです。
室内やテラスにデスクワークができる席が用意されているほか、会議室や個室ブースも用意されており、ウェブ会議など静かなスペースが必要な作業にも使えます。
フォレストアドベンチャー蓼科
フランス発の自然共生アドベンチャーパーク。森を森のままに利用出来る、子供から大人まで楽しめる。
パーク内では「自分の身は自分で守る」が大原則。
凄いのは現地の職人さんを呼んで、これだけの施設なのに重機を一切使わず作り上げたとのことです。
空中を歩くような遊具も沢山!
クラスベッソ蓼科
昼は別荘兼住宅展示場、夜は宿泊した新しい別荘体験が出来る新業態です。蓼科の森に「まるで暮らすように」豊かな自然を過ごすことが出来ます。手頃な大きさとお値段で、別荘特需の掘り起こしに非常に有効とのことです。
別荘の外壁は「もりぐらし」のカラマツを使用しています。
別荘外観です。日当たりも良く、非常にオシャレ!
グラマラスダイニング蓼科
豊かな自然に包まれた森のダイニング。大人数で楽しむBBQから、本格的なテントを導入したグランピングまで、それぞれの楽しみ方に対応出来る3種のエリアがあります。
信州産カラマツLVL「The Roof」
信州産カラマツを用いたTHE ROOFは木の温もりを感じるだけでなく、見た目も壮大で凄さを感じます。
TOILETまで、あと「109」歩?
余談ですが、道の途中で見つけた看板です。
「なぜ109歩??」と考えていたら一緒に参加していた方から、「109」の由来は「東急(とうきゅう)」の読みを数字の「10=とう、9=きゅう」にあてた語呂合わせで渋谷109と一緒じゃないか。と聞いて納得しました!
まとめ
今回は日帰りでの参加でしたが、自然を活かした建築や施設を見学することが出来てとても良い勉強になりました。
ツアーの後に行われた懇親会では参加者の皆さんと交流することで、自分の考え方の幅を広げることが出来ました。
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