着任当初、アートセラピーのワークショップをした際のご縁で、「地域活動支援センター ピアハウス」さんにお声かけいただき、出前対話鑑賞ワークショップをしてきました。
統合失調症や発達障害などをお持ちの方が、のんびりしたり、さまざまなアクティビティを楽しめる場所が、ピアハウスです。私にとっても、施設にとっても、初めての機会でしたので、どきどきしながら迎えた当日。
この日選んだのは、近代の絵画3点。マティス、シャガール、カンディンスキーという、私も大好きな、個性派の作品群です。どんな展開になるのか、予想がつかないのが対話鑑賞の面白さでもあり、同時に緊張するとことでもあります。
まず最初の作品、マティスの妻を描いた肖像画には、第一声で「大泉洋に似ている!」との発言が。(これには私も吹き出してしまいつつも、確かに似ている…むしろそうとしか見えなくなってくる…という展開。)何かを真剣に考えているようだ、中国人なんじゃないか、誰かを見つめているのではないか、芥川龍之介にも似ている…などなど、冒頭から賑やかに絵との対話を楽しみます。

2作目は、私も大好きなシャガールの作品。男女二人が、何やらさみしげな街の上を浮遊している場面に、「これはきっとウクライナの街の風景だよ」との言葉が。「夢の中なんじゃないか」「どこかに逃避しているんじゃないか」などのさまざまな解釈が飛び出る中、「次の場面はどうなるでしょう?」との問いかけには、「きっと二人でベンチに座っている」「安全なところに行ける」などなど、みなさん希望に満ちた展開を想像してくださいました。

そして最後の作品は、難解に感じる方も多い、カンディンスキーの抽象画。絵をお見せした途端、「うわー」という言葉が。(でたこのピカソみたいなよくわからんやつ…!ってなりますよね。)そんな中、みなさんそれぞれ何が見えているのかを共有していくと、同じ絵の中に全く違うものが見えていることが発覚。それらを聞きながら、だんだんといろんなものが見えてくるように。最後に、実は作家が左から右に視線が移っていくように描いたんですよ〜と種明かしすると、みなさん「あぁ〜」とため息。私自身、この日はこれまでで一番カンディンスキーの中にいろんなものが見えました。

一番好きだった絵を聞くと、意外にもカンディンスキーが人気No. 1。一見難解に見える作品の面白みが溢れ出すのも、対話鑑賞のマジックであり、そして感受性豊かなみなさんと作った場だからこそ立ち現れた豊かなひとときでした。
終了後には、参加者のお一人が、ご自分で作った素敵なパッチワークのかばんを「先生みてみて〜!」と見せてくださる一幕があり、とってもほかほかした気持ちになる山際。自分の作ったものを、誰かに見せたい気持ち、一緒に素敵だねという時間、そういう優しい交流ができる場所って、本当に温かいなぁと実感するのでした。
心にたくさんの栄養をいただきながら、改めて絵を見る面白さを教えてもらった時間となり、ピアハウスのみなさんに感謝でいっぱいです。いただいた温もりで、冬の終わりをなんとか乗り切れそうな気持ちでおります…。お声かけいただき、どうもありがとうございました…!🥺✨
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